次の実装例のように、テキストを1文字ずつspan
要素で区切ってアニメーションする際の注意点と実装例について纏めたメモ書きです。
実装例
spanで区切ったテキストは読み上げから除外する
支援技術はspan
要素で区切ったテキストを1文字ずつ分割して読み上げてしまいます。また、「自」は「じ」、「美」は「び」と読み上げられて意味の通らない読み上げがされる可能性もあります。
この問題の解決策として、span
要素で区切ったテキストはaria-hidden="true"
を指定して読み上げから除外するようにします。
このままだと支援技術を使用しているユーザーはアニメーションされているテキストの内容を認識することができないため、そのテキストに書かれているものと同じ文言のテキストを別途visually hiddenして挿入します。
後ほど説明しますが、visually hiddenのユーティリティクラスを用意している場合でもそれを使用せずに.alternative
セレクタに別途スタイルを指定することを推奨します。
visually hiddenのスタイルはAMPのものを参考にしています。
spanで区切ったテキストは機械翻訳対象から除外する
Google翻訳などの機械翻訳はdisplay:inline-block
を指定したspan
要素を文字ごとに区切って翻訳してしまいます。
支離滅裂な翻訳がされるならまだしも、実装例だと「か」は “Mosquito” 、「し」は “death” と英訳されるなど元の文章からは想像ができない不穏な文章に化けてしまっています。
そのため、表示崩れや不穏な文章に化けてしまう事態を防ぐためにもspan
要素にtranslate="no"
を指定して翻訳対象から除外するようにします。
しかし、意味の通らない翻訳を防いだところで元の日本語のテキストは翻訳されません。故に海外からのユーザーは困る可能性があります。
そこで、Google翻訳のようにlang
属性を変更してくれる翻訳ツール限定とはなりますが、span
で区切ったテキストは非表示にしつつ、前項で用意したalternative
要素を :lang(ja)
でない場合に可視化することで機械翻訳された元のテキストを出力するようにします。
各span
要素の:lang
擬似クラスを参照することで、html
要素のlang
属性を取得して出し分けるのと同様の効果を得られることを教えていただきましたので、:lang(ja)
擬似クラスを参照する方法に置き換えています。ご提案いただきありがとうございました。
こうすることで機械翻訳後はテキストアニメーションは行われないものの、元のテキストの翻訳が期待通りに行われて表示されます。
なお、span
区切りによる読み上げの問題と機械翻訳の問題はdisplay:inline-block
を使用した改行でも起こり得ます。文節ごとにspan
要素で改行する実装を行う場合は念の為読み上げと機械翻訳のチェックを行うことを推奨します。
animation-delay用のカスタムプロパティはspan毎にstyle属性で持たせておく
テキストアニメーションを実装する場合は各span
要素をanimation-delay
することとなりますが、CSS側で:nth-child(n)
にそれを指定するのは手間がかかります。
Sassを使用する場合でもテキストが多くなった場合に備えて無駄に多くループ処理する必要があったりと、あまりスマートな実装とは言い難いです。
そこで、animation-delay
用のカスタムプロパティはspan
毎にstyle
属性で持たせておくようにすればCSS側の記述は簡潔になります。
各span
要素にstyle="--index: n"
を指定する手間に関しては後述する方法で自動化するため、そこまで問題にはなりません。
なお、animation-delay
をstyle
属性に直接指定することも考えられますが、CSSファイルで待機時間を調整できるこちらの方法がtransition-delay
にも対応できたりと柔軟性があってベターかと思います。
アニメーションは視差効果(アニメーション)を減らす設定がされている場合には除外する
前回の記事「スクロール連動アニメーションの実装例」で説明したので詳細は省きますが、例に漏れず視差効果(アニメーション)を減らす設定がされている場合にはアニメーションを行わないようにします。
手作業でspanで区切るよりJSで自動化したほうがいい
手作業でテキストをspan
で区切り、各属性を指定するのは非常に手間がかかります。実装時もそうですが、実装後に改修を行う場合も少なからずコストが掛かるでしょう。
このような作業に時間を掛けるのはもったいないのでJSで自動化することを推奨します。
JavaScriptの実装はGitHub Gistに纏めています。コードにはTypeScriptを使用していますので、TypeScriptを利用していないWeb制作現場で使用する場合はChatGPTなどに依頼してJSファイルに変換してください。
Astroや各種フレームワークのSSGを利用しているのなら、クライアントサイドではなくビルド時に同じような処理を実行するのが良いでしょう。
上記のJSを実行すると次のようなHTMLが出力されます。
以下、JSの実装についての簡単な解説です。
テキストを区切るspan
要素と代替テキスト要素のclass
名はオプションで変更できるようにしています。各種プロジェクトの命名規則に対応。必要があるかは分かりませんがインデックスのカスタムプロパティの命名も変更できます。
要素のテキストコンテンツを複製し、visually hidden用の要素を生成します。class
名はデフォルトでalternative
です。スタイルの指定は本記事を参考に各々で行ってください。
テキストに空白スペースが含まれる場合はaria-hidden="true"
を指定したspan
要素で囲んだ実体参照を出力します。その他のテキストノード(Node.TEXT_NODE
)の場合はaria-hidden="true"
、translate="no"
、空白スペースを除くインデックスを割り当てたカスタムプロパティ、class
属性(デフォルトでcharacter
)を含んだspan
要素で区切って出力します。
また、br
などのHTML要素(Node.ELEMENT_NODE
)はそのまま出力するようにします。
CSSに関しては次の指定を参考に各々でアニメーションを実装してください。
各種イージングはカスタムプロパティで定義しておくと便利です。
参考リンク